織り人さんに、こんな可愛い糸がありますよ~と紹介しつつ、つい自分も買ってしまいます。
また、興味がなかった糸でも誰かが作品で使っているのを見ると、ついココロが動いてしまいます。
そんなこんなで糸まみれ。今年の目標は、手持ちの糸を織る、です🍄

そして、12月のベガスの作品でもココロが動いてしまっていました…
改めて写真を見ると、やっぱり欲しい。でもその糸は、もう、ない。。。

 

🍭ストール(ウール)初の筬なし織り。筬がないのでタテ糸を広い範囲で動かして、タテ糸の模様を作る織り方です。そして、普通ならヨコ糸を入れたら筬で糸を打ち込むのですが、シャトルで織ります。裾でちょっぴりX交差織り(クールクロス)もしています。
 

 

🍭ストール(ウール)ビビッドカラーの段染め糸と大胆に挟み込んだ羊毛が、ストールの裾で「私に気づいて❣」と叫んでいるようですね。
 

 

🍭ベスト(ウール・綿)細幅の布のベストです。襟は前→首→前と、グルっと回して付けています。後ろ身頃中央の裾でふんわりと広がっているのは、拡幅織りで布幅を広げているんですね。

 

🍭フード付きロングベスト(ウール)私にしては軽い布を織ったのよ☺、とご満悦の作品です。外付けポケットが1つと、反対の脇はスリットでなんちゃってポケット。ボトムスのポケットに手が入れられるスリットなんです👏

 

ベスト(ウール)布の途中で分け織りをして、また戻してはつり目を作っています。布幅の変化が面白いですね。段染め糸を使っているのですが、ヨコ糸に同じ糸を使った部分が十字模様になっています❤

 

🍭ジャンパースカート(ウール・化繊)毛足の長い化繊糸を使いたくて織った布で、3枚はぎです。後ろの裾で、織り布がパタパタと開く屏風織りをしているので、着ると布がふんわりと広がって揺れるんです。

 

🍭ワンピース(ウール・化繊)仕立ての過程で出た端切れを襟にしています。赤のブラウスの下側は黒タテ糸で織った別布です。途中からタテ糸重ね織り(タテ糸追加)をして色を変えて、フリンジには羊毛を撚り足しています。

 

さをり織りは自分自身を織ります。
楽しい気持ちの時もあれば、沈んだ気持ちの時もあります。

糸を触ったり織りながら自分の心の状態に気付くことがあります。
気分が変わっていったりもします。

人間だもの、その時々で変わって当たり前なんですよね。
そんなココロ模様を織り込んださをり作品をさをりの森の2階ギャラリーで展示販売しています。

織らない人でも、織った作品を見るだけで元気になりますし、さをり服を着るとほんわかあったかい気持ちになります。
ご来館の際にはぜひギャラリーをご覧くださいね。

昨年からのコロナ禍で右往左往した2020年から2021年へと突入したものの、まだしばらくは続きそうな雰囲気ですね。
こんな時こそ、自分自身の動向などを見直してココロ穏やかに過ごしたいなと思う、スタッフ吉野です🍄

本年もスタッフ一同、今まで以上に消毒や換気に留意し、皆様を笑顔でお迎えする所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

さて、本日1月10日は、さをり織り創始者である城みさをのご命日です。
ちょうど3年前、苦しむことなく大往生を遂げました。

 

1969年。自分の織った布にタテ糸が1本抜けていた。
織物の常識に照らせば傷物。
しかし、何か趣きがある、自分としては気に入っている。
これを傷とみるか模様とみるか、見方次第で物の評価は180度変わる。
よし、一度常識から離れて自分の好きなようにやってみよう、
どんどんキズを作ってやろう…。

 

そんな気付きから創まったさをり織り。
日本にとどまらず、アメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリスなど世界各国でもさをり織りは広がっています。2018年3月に開催した城みさをを偲ぶ会には、300人以上もの方が集まり、みさを先生の偉大さを痛感しました。

 

さをり織りを創めて6年経った1975年。
哲学的な思想を持つさをり織りの、指針となる四つのスローガンが決まりました。

 

機械と人間の違いを考えよう
それは自由にものを考える力を持っていることです。感情を表現できることです。その出来栄えはまづくても、自分の考えたことは尊いと自信を持ちましょう。

思い切って冒険しよう
売るために作られている市販のものは売れないと困るから、平均的なものだけを作ります。我々は売り物ではない自分のものを作れば良いのです。それが最高に楽しいことですから大いに冒険しましょう。

キラキラと輝く目を持とう
いつもキラキラと輝く目をもって、何事も良いものは見逃さないぞという意気込みで暮らしましょう。

グループのみんなで学ぼう
遠慮なくグループのみんなに教えてもらい、その代わり自分も良いものを作って見ていただきましょう。

 

注釈については50年の間により良い表現に変わっている部分がありますが、根っこのところは変更なく、今も受け継がれています。さをり織りを楽しむ方の中に息づいている、このスローガンはさをりの核であるとも言えます。
みさを先生を偲んで今一度、じっくりとかみしめたいと思います。

 

さをりの森で発行している「城みさをの言葉365日」~さをりの哲学【一日一言】~という本があります。
四つのスローガンだけではなく、みさを先生が感じたことや著書・講演会で発した言葉を、まとめている本です。

その中の一言をご紹介します。

いつ死んでも惜しくない。
57歳から自分のやりたいことをやってきて、多くの素晴らしい人々を見付けて、嬉しくて共に喜んで、そのあと誰からも、「さをりに出合って嬉しかった!私の人生は本当に楽しかった!」と、多くの人々から感謝された。
つくづく幸せな人生だったと思う。

 

 

さをりの森は、12月28日(月)~1月4日(月)まで、お休みをさせていただきます。
スタッフ一同リフレッシュし、2021年を笑顔で皆様とお会いできるのを楽しみにしています。
とは言え、こんな状況ですから、ステイホームの人も多そうですね。。。

 

2020年はコロナの影響で、いつもとは違った年になりましたね。
さをりの森でも緊急事態宣言が発令されている間は、教室OPEN以来、初の長期休館をいたしました。
教室スタッフもお休みし、自宅での織りや仕立てに勤しんでいましたが、医療従事者や、コロナ禍で大変な思いをされている方が多い中、のんびり織っていていいのかしらと思うこともありました。

 

そんな時に、みさを先生の手記を読んでいると、違うシチュエーションの話ではありましたが、今の状況に当てはめてもいいのではないかと、ふっと心が軽くなった文章があったのでご紹介しますね。

 

窮屈な姿勢を強いられると、自由な動作が取れなくなる。体が硬く、血の巡りが悪くなる。窮屈はいけない。身体を窮屈にするのもいけないが、精神が窮屈になるのはなおいけない。のびのびとした自由自在な姿こそ天然自然の姿である。

人は近視眼的見方に陥りがちである。とはいえ、ひとつの見方が常に正しい見方であるとは限らない。万物は日々新たに、千変万化し、今日の姿はもはや昨日の姿ではない。だから吾々も、新しいものの見方を生み出してゆかねばならない。融通無碍に変化する"柔らかアタマ"を持ちたい。心が窮屈では、この自由自在を失う。だからいつまでもひとつに固執して、我と我が身を縛り付けることはよそう。そんなところに発展や進歩は生まない。お互いに窮屈を避け、闊達なる心でモノを見て、そして考えてゆきたいと思う。

自然はすべて、それぞれひとつひとつは完全な存在ではない。しかし、不思議なことに、それぞれの適性の中でその本領を発揮し、お互いに与え・与えられつつ、大きくそして美しい、見事な調和を生み出している。

自然の一部である吾々人間も同じではないか。お互いそれぞれ完璧でなくとも、それぞれの適性の中で懸命に、精いっぱい、その本領を活かすことを心がければ、大きな調和のもとに、自他ともに感じられる幸福が生み出されてくるのである。

 

さをり織りに出会ってなければ、この言葉に出会うこともなかったでしょうし、心身ともに窮屈になっていたかもしれません。

 

また、休館明けには「さをりができなくて寂しかった、織りに来られて嬉しい」とか、「織機を買っていて良かった、さをりをしていて良かった」という言葉をたくさん頂き、当たり前だと思っていたことが当たり前じゃなかったんだなぁと痛感しました。
あらためてさをり織りの力を知った1年でした。

 

2021年、心が窮屈にならないように。
それぞれの個性を尊重し、失敗を味と考えるアートとしての自由な手織り、さをり織りをより多くの方に触れていただけますように。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。