さをりの森で毎月開催しているベガスの会は、クリエーターさんが切磋琢磨し懇親を深める場でもあります。
作品を見せあい、刺激を受け合い、アイデアをシェアし、悩みや困ったことを相談する場です。
登録制ですので、ご興味がある方や一度見学したいわと思われたらさをりの森へお問合せ下さい。
ではでは、ベガス作品2月のその2をご紹介いたしましょう。

 

🍭バイヤス仕立てのベスト(綿)
ご本人いわく、身幅をもっと広くしたかったそうですが、思いのほか狭くなったとの事。でもね、試着するとフレンチスリーブでめっちゃ可愛いんです。綿なのでインナーを変えることで1年中、大活躍してくれます。

 

🍭ベスト(ウール)
ハギレのコラージュ作品です。モノトーンが大好きなSさんは、当然ながらモノトーンのハギレがたくさんある♪ということで、それを集めてベストにしちゃいました。ハギレといえども捨てられないさをりのハギレ。小物になることも多いのですが、しっかり服にもなるんです。

 

🍭ロングベスト(綿)
あるショップで同じようなデザインの服があり、これならさをりでもできるよね~とインスピレーションを受けて仕立てたベストです。前回の、分け織りを首あきにしたブラウスと同じタテ糸で織っています。脇は細幅で4mを織ってあしらっています。裾の分け織りがヒラヒラと揺れて素敵です。

 

🍭ベスト(綿)前身頃にフリルのようにあしらっているのは、前出のロングベストと同様に細幅で長く織っておき、それをヨコ糸として入れたり出したりしながら織っています。細幅がずれるのがイヤだな~ってことで、縮絨前にミシンで押さえています。襟ぐりはさらに細幅で織って、バイヤステープのようにして裁ち目をくるんでいます。

 

🍭ベスト(ウール・綿)
春になるとピンクが織りたくなるのよね~♪と、織って仕立てた作品は、フワフワと毛足が長い糸を布の端に挟み込み、桃色に菜の花のような黄色や空の色を入れたりして、春を全身で満喫できそうなベストです。

 

🍭ベスト(ウール)
以前はチュニック丈のベストだったのですが、リメイクしています。上側の色合いは好きなんだけど…と、下側をほどいて布を折り返して縫い合わせました。分け織りを首あきにして、分けた部分のヨコ糸にところどころでストレッチ糸を使って、幅を変化させています。裾のギザギザがオシャレです。

 

🍭マフラー(綿)
ヨコ糸の交換を多くして、横縞の幅も様々に変化させたマフラーです。マフラーというと冬物のように思うかもしれませんが、これからの季節は気温変化や冷房除けに大活躍してくれます。

 

🍭ストール(リネン・ウール)
3m整経で、2.5mほど織ったストールです。春ですっって叫びたくなるような色合いですね。昨年の他のメンバーさんの作品に刺激されて織ったそうですが、思った雰囲気にはならず。じゃあリベンジするか!と、もう1本のための糧になった作品です。

 

🍭ストール(リネン・カシミヤ)
気を取り直して…と、しっかりカシミヤが縮むように1本取りで織ったストールです。ですが…あれ?縮んでいない。お湯も入れたのに~少し嘆いていました。写真ではシャーリングのように見えているんですけどね。肌触りはカシミヤがとても気持ち良いそうです。

 

🍭ストール(綿・化繊)
裾の方で分け織りとルーピングでポイントを作っています。黒の2色交差もとても綺麗な作品です。

 

そろそろ春色や綿・シルクなどの春物が多く集まっている作品たちです。
じっくり見ると、そこかしこに作家さんの個性がにじみ出ています。
ご来館の際はぜひ、2階ギャラリーの作品を手に取り、ご試着なさってくださいませ。

急に寒さが和らいで、一気に春を迎えているさをりの森です。
3日お休みして出勤したら桜が満開になり、前日にはまだ硬そうだったミモザの蕾が花開いていました。
しばらくは次々に花が咲き乱れるさをりの森です。ご来館の際はぜひ森の散策もお楽しみ下さいね。
さて、すっかりご無沙汰していたベガス作品のご紹介です。

 

🍭ワンピース(ウール)
こちらはタテ糸に30色を使うというテーマで創ったタテ糸を織っています。30色は厳しかったので、30種類の糸と考えて糸を掛けたそうです。

裾を拡大してみました。
前の裾は織り始めに、タテ糸を折り返してそれをヨコ糸として織る織り技。
後ろの裾は2色交差を配置しています。

 

🍭ジャンパースカート&ボレロ(シルク・タテ糸染め)
ジャンパースカートの身頃は、布を縦遣いにしていますが裾を横遣いにすることでふんわりした印象です。ボレロに、2色交差でオレンジ色が入っているのが華やかです。

 

🍭ジャンパースカート(綿・化繊)
くし筬でタテ糸を大きく動かしている作品です。脇布は同じタテ糸ですが、色をしっかり変えて織っています。スリムに着ることができるように、脇にポケットと内布を足して脱ぎ気をしやすくしています。

タテ糸に使ったぴゃむぴゃむヤーンの粒々が埋もれないように、粒々だけをすくい出しながら織っています。

 

ワンピース(ウール)
ヨコ糸の交換の「間」が効果的な作品です。糸交換はちょっと手間が掛かるので、つい長く織ってしまうという人も多いのではないかしら。いろんな糸が入ると縮絨率の違いで自然とシャーリングができてしまうのも面白いですね。

 

🍭チュニック丈のジャンパースカート(ウール)
以前は前開きのイカベストだったのですが、リメイクで前を縫い合わせて、前後を逆に着られるようにしました。フリンジを撚り合わせて輪っかにしているのもポイントです。

 

🍭ブラウス(綿・化繊)
分け織りを首あきにしているブラウスです。頭が入るサイズくらいを分けておくと、襟にも袖あきにも使えますね。モフモフ化繊糸を使った2色交差は、色だけではなく糸の形状の変化も楽しめます。

 

🍭リバーシブルジャケット(ウール)
裏返して着ることもできるリバーシブル。ヨコ糸の交換が少ないと、リバーシブルの効果がわかりやすそうですね。前にボタンを2つ付けて、襟の合わせ方をカスタマイズできます。

 

 

🍭コート(綿)
他の方が創ったタテ糸が自分が創りそうにない糸で、織らせてもらった布です。白・黒・グレーの段染めの糸が水面のような模様を描き出しています。そこに合わせて、くし筬でタテ糸を動かして…??メンバーから「どこに?」って声が上がり、近寄って探すほど奥ゆかしいくし筬模様もあります。

 

 

毎月第4月曜に開催しているベガスの会は、さをりの森に登録しているクリエーターさんの作品披露会です。
制作過程のお話を披露したり試着をして、お互いに刺激を受け合い、自分の中にアイデアや情報を増やしていくのです。
さをり4つのねがいの1つ、「グループのみんなで学ぼう」を実践する場です。
時には厳しい意見をもらっても、その意見をどう受け止めるかは自分次第。
しかしながら視野を広げるためには、自分と違う意見も必要なのです。
私は私!と耳をふさぐのではなく、見聞を広めていけたらいいなと思います。

 

2月の作品その1はここまで。
ご紹介した作品の一部は、さをりの森の2階ギャラリーにて展示販売しています。
ご来館の際はぜひギャラリーをご覧いただき、作品を実際に手に取って試着なさってくださいね。
遠方で来館ができなくっても、気になる作品がありましたらさをりの森へお問合せください。
📞0725-57-7022(9:30~17:30)
https://www.saorinomori.com/contact

さをりとは、手織りで自己を表現するというアートです。均一・均質が多い織物の常識や既成概念から抜け出し、それまでは間違い・失敗と言われていたものを『人間だからこそ成しえる技なんだ』と考えます。
機械にはできない、人間ならではの織りを目指す。お手本通りではなく、その人それぞれの個性を重視します。出来上がるものがオンリーワンになるように、するとそこには織り手の感性がにじみ出ています。

 

「城みさを」は、哲学ともいわれる思想を確立させた、さをり織りの創始者です。

 

今から4年前の2018年1月10日、みさを先生は104歳で他界しました。
2日前まではお元気で、さをりの森代表・研三さんとともに出勤されていましたが、長く苦しむこともなく、大往生でした。

 

さをり織りは1969年に、さをりとして始動しました。
みさを先生はへそ曲がりだったそうで、研三さんからはいろんな逸話をお聞きすることができます。男はこう、女はこうあるべき。という風潮にずいぶん昔から疑問をお持ちだったようで、いわゆる女性らしいとは少し違ったようです。そうじゃなければ、既成概念を打ち破ることはできなかったのかもしれません。

Camera 360

 

タテ糸に入っていた一筋の模様をみさを先生は模様だと考えていました。しかしそれは織り職人の目から見ると失敗作でした。
普通ならそこで、じゃあ次は間違えないようにしようって思いますよね。失敗と言われて意気消沈しちゃうかもしれません。そう、普通は。
しか~しへそ曲がりのみさを先生はそこで奮起し、気付きます。
「私は模様に見えるのになぜだろう。そうか、一筋やと失敗になるのなら、もっと筋を入れると模様に見えるのでは?」
それから、なぜ筋ができたのかを考えます。それは、次に間違わないためではなく、模様に昇華させるためです。そうやってたくさんの筋を入れた帯を織りました。

 

自らの感性を重視し、自分自身がどうしたいか、心地いいのか悪いのかなどを感じながら織るさをり織り。
失敗しても、間違えてもいい。それをどう受け止め、感じるかは自分次第なのです。失敗したところが楽しくなればそれでいい。楽しくならなかったのなら、そう思った自分を受け止めて次の糧にすればいい。
人間なんだもの、間違えて当たり前ですものね。

 

みさを先生の曲がったおへそのおかげで生まれたこの思想は織りだけではなく、日常生活の中でも当てはまるところが多いため、50年過ぎた今も変わることなく、人々の心のよりどころとなっています。

 

さをり織りをする人にとってみさを先生が提唱した理念は、空気のように馴染んでいます。馴染みすぎて、あらためて考えたりお話しすることが少なくなっている人もいるのではないでしょうか。
みさを先生の御命日やお誕生日などにみさを先生のこと、そしてさをりと自分の関わり方など考えてみませんか。

Camera 360